ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

そう思いながら、雨雲を見上げていたときだった。


机に置いていた莉子のスマホが震えた。

どうやら電話みたいで、莉子はスマホを耳にあてる。


聞こえる会話からすると、電話の相手は莉子のお母さんのようだ。


〈わかった。2人に伝えておくね〉


さっきまで雨で憂鬱そうだった莉子の声が一変。

電話の途中から、急に声のトーンが上がった。


「なんの電話やったん?」


電話を切った莉子に尋ねる。


「えっとね。仕事が早く終わったお父さんを、お母さんが車で迎えに行くみたいなの」


そりゃ、こんな雨だもんな。


「だからそのあと、授業が終わるころに学校まできてくれみたいだから、乗せて帰ってくれるんだって。大河と悠もいっしょに!」


……えっ…?

俺と悠もいっしょに?


「さすが、莉子のお母さん!」