ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

その瞬間、グラウンドにいた部員と、ベンチから溢れ出した部員が、マウンドに立つ俺に駆け寄ってきた。

人差し指を掲げて、マウンドの上で飛び跳ねる。


…お前ら、少しは離れろよっ。

暑苦しいだろ…!


そう思いつつも、俺も痙攣で震える手で人差し指を立てると、それを澄み渡る空へと突き上げたのだった。



ようやくつかんだ、念願の優勝。

去年と一昨年は決勝戦で破れ、悔し涙を呑んだ。


部員はもちろん、マネージャーである莉子もそうだ。


だから今年こそは、莉子の笑う顔が見たかった。



「よう、莉子」

「…大河!」


閉会式を終え、優勝旗を手にして一番に向かったのは、莉子のところだ。


「言ったとおりやったやろ?『3球で決める』って」

「うん、そうだね」


もっとなにか声をかけてくれるかと思いきや、莉子の反応は思っていたよりもそっけない。