ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

それ以外を投げたら許さないといった表情が、キャッチャーマススの奥から窺えた。


…そんなこと、言われなくてもわかってるよ。


俺はボールを握ると、深呼吸をした。。



――そして、1球目。

見逃しのストライク。


さらに、2球目。

空振りのストライク。


…残るは、あと1球目。


それなのに、また手の痺れを感じてきた。

思っていたよりも、限界が早かったようだ。


止まれっ…!

最後の1球を投げ切るまでは、…待ってくれ!


そう願って、左手に持つボールに目を移したとき――。

俺は、あることに気がついた。


左手首につけていた、赤と黄色の紐で編み込まれたミサンガが…。

切れていた。


今、切れたのだろうか。

地面に落ちることなく、まだ俺の手首にかろうじて巻きついていた。