ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

「莉子は、そこで黙って見てるだけでいいから。…3球で決めてくる」


そう、3球。

それがおそらく、今の俺の限界だ。


だから、すべてストライクで決める。


俺はそう自分に言い聞かせると、キャップのつばをギュッ握った。


眩しい太陽の光が降り注ぐマウンドは、まるでスポットライトが当たっているかのように見えた。


そのステージに、俺は再び舞い戻ったのだった。



「…大河、遅ぇよっ」

「悪かったな、悠」


マウンドに立った俺に、キャッチャーの悠が駆け寄ってきた。


「腕は?」

「…まあ、なんとかっ」


俺は笑ってごまかす。

でも、悠にはバレバレだった。


「だから…。3球で決める」

「当たり前や」


俺たちはグローブを突き合わせると、にっこりと微笑んだ。



悠のサインは、ストレート。