――しかし、異変は突然起こった。



中盤の5回裏。


…さっきから、決め球が決まらない。

はたまた、ファーボウルで進塁を許してしまうほど。


なんだか…おかしい。

そう思って、初めて気づいた。


俺の腕が…痙攣していることに。


さっきから、ボールを思ったとおりに投げられないのは、このせいか…。


できることなら、最後まで投げきりたかった。

俺の手で、勝利をつかみたかった。


――だけど。


「…すみません、監督。ピッチャーの交代をお願いします」


タイムを取って監督にそう伝えると、俺はベンチに下がった。


俺1人のわがままだけで、チームに迷惑をかけることはできない。

決め球が投げられない時点で、俺はマウンドに立つ資格すらないのだから。



「…大河、どうしたの!?」