凪徒と杏奈の口喧嘩に団長が加わり、更におかしな状況になったが、モモは独り自分の世界の中で、今回の旅行に対して改めて考えた。

 ──もしかしたら、此処を辞めなければならないあたしへの、神様からのプレゼントなのかも……先輩との最後の想い出作り……きっとそうだ──。

 モモは帰国してすぐに退団を伝えなければいけない罪深き自分を、一旦端へと押しやった。

 ──謝って許されるのなら、幾らでも謝ろう。いや……どんなに謝っても……許されないかも、しれないけれど──。

「あ、あの、先輩……海外なんて行ったことのないあたしがお荷物なのは分かっています! でも……すみません……一緒に行ってください!!」

「モモ……?」

 凪徒はモモの必死な訴えにいつになく驚いた。

 モモが今までこんな風に自分の事で嘆願したことなどなかったからだ。