★本日10月26日は、偶然にも「サーカスの日」だそうです♪



「ごめん、待たせたな」

「ううん……」

 禁煙席の一番角、窓際の端で、息を切らせてきた洸騎を見上げ、モモは首を振った。

 ファミレスに着いて三十分、お陰で少し心を落ち着かせることが出来た。

「お腹空いてる? ……それとも……『話』が先の方がいい?」

 目の前に座った洸騎が上着を脱ぎ、早速尋ねる。

「ちょっと……お腹空いてきたかも……」

 モモは以前のように本題を避けて逃げた。本当は空腹なんてちっとも感じられない。

「じゃあ、何頼む? 僕は……」

 それでも注文した料理が並んで一口含めば、それなりに食事は進んだ。

 モモはその間何も喋らなかったが、洸騎が時々話す世間話にうっすらと笑みながら相槌を打った。

「さてと……茉柚子さんから話したって聞いたよ。本当は僕があの時話す予定だったんだけどさ、モモに逃げられちゃったから」

「ご、ごめん」

 日曜のショーの後、洸騎に抱き締められた『あの時』──モモは身を小さく(こご)めて、洸騎の眼を見られないまま謝った。

 洸騎もまた、困ったように(うつむ)いた。

「気にするなよ。あんなこと、突然仕掛けて悪かったと思ってるから……こっちこそ、ごめん」

「……ううん……」

 それからしばらく沈黙が続いたが、食後の珈琲と紅茶がやって来て、一息入れた洸騎がようやく口を開く。