翌朝の食堂、いつになく言葉少なな暮と、相変わらず無言の凪徒、そして何も喋れないモモが、変な空気を発しながら朝食を進めていた。

「……」

「……ん、……ん」

「……?」

 モモは凪徒に一切目を向けず、時々心配そうな顔で真っ正面の暮をチョロチョロ見上げては、その度に暮が「……ん、……ん」と喉の奥で返事をする。

 そんなヘンテコなやり取りを凪徒は横目に入れながら、(たず)ねるタイミングを計っていた。

「ごちそう様でした……」

 モモは普段より早く、食事の終わりを告げて立ち上がった。

「モモ、何処(どこ)か行くのか?」

 暮が一言尋ね、

「えと、夫人の所へ……」

 その答えに満足そうに、暮は大きく(うなず)いた。