先程、穂波を否定していた人間たちを、椿は一瞥した。
「母親殺し。序列も百位で存在自体、縁起が悪い。一族には不要な人材。頼るのはやめた方が良い……一時は勝手に彼女に頼っておきながら、随分な物言いだ」
氷でできた刃物のような、冷たく鋭い眼光に、男たちのさっきまでの勢いは一瞬で消し飛ぶ。子供のように縮こまり、俯いてしまった。
鬼のように、否、鬼より恐ろしく。敵に回したが最後、もう逃げることはできない。氷宮家史上最も冷たく、残酷な当主。椿は、そう呼ばれていた。
「その場に居なかったのに、なんで知って」
「未来が読めるんだよ……その場に関係する物に触れるだけで、この先何が起こるか読める」
「なんだよその力、都姫さんの上位互換じゃねえか」
こそこそと自分の周りで話す声に、都姫は爪を噛んだ。何が上位互換だと、怒鳴り散らしたい思いだった。
簡単に使える念力でないことは都姫の弱点ではあるが、椿は未来が読めても、あくまで読めるだけ。こっちには何をどうすれば良いか、神の啓示が出る……私は選ばれた人間だ、私は選ばれた人間だと、都姫は心の中で唱え続けた。
「一族に不要な人間なら……じゃあ、彼女は俺がもらっても良いよな」
「な、何をおっしゃるんですか!?」
「白洲穂波を、氷宮家の……俺の嫁にもらいたい」
椿は穂波の肩に手を置くと、部屋に居た序列候補者たちを見渡し、一点の迷いもなくそう告げた。誰もが驚いたが、一番驚いていたのは当の本人である穂波だった。
「母親殺し。序列も百位で存在自体、縁起が悪い。一族には不要な人材。頼るのはやめた方が良い……一時は勝手に彼女に頼っておきながら、随分な物言いだ」
氷でできた刃物のような、冷たく鋭い眼光に、男たちのさっきまでの勢いは一瞬で消し飛ぶ。子供のように縮こまり、俯いてしまった。
鬼のように、否、鬼より恐ろしく。敵に回したが最後、もう逃げることはできない。氷宮家史上最も冷たく、残酷な当主。椿は、そう呼ばれていた。
「その場に居なかったのに、なんで知って」
「未来が読めるんだよ……その場に関係する物に触れるだけで、この先何が起こるか読める」
「なんだよその力、都姫さんの上位互換じゃねえか」
こそこそと自分の周りで話す声に、都姫は爪を噛んだ。何が上位互換だと、怒鳴り散らしたい思いだった。
簡単に使える念力でないことは都姫の弱点ではあるが、椿は未来が読めても、あくまで読めるだけ。こっちには何をどうすれば良いか、神の啓示が出る……私は選ばれた人間だ、私は選ばれた人間だと、都姫は心の中で唱え続けた。
「一族に不要な人間なら……じゃあ、彼女は俺がもらっても良いよな」
「な、何をおっしゃるんですか!?」
「白洲穂波を、氷宮家の……俺の嫁にもらいたい」
椿は穂波の肩に手を置くと、部屋に居た序列候補者たちを見渡し、一点の迷いもなくそう告げた。誰もが驚いたが、一番驚いていたのは当の本人である穂波だった。
