序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「氷宮椿がなぜあの女と……」
「しっ、静かにしろ」

 部屋の奥で、怪訝そうに呟く男の声がすると、すぐに横に座っていた女が黙るように制した。椿に聞こえていないか、女は恐々としながら様子を見ている。

「氷宮、椿?」

 穂波は隣に居た椿を見上げた。彼は、氷宮一族の分家である六条家の人間だったはず。

「氷宮家の当主であるあなたとはいえ、藤堂家次期当主についての大切な話し合いの場……入ってこられては困ります」
「ひ、氷宮家の当主!?」

 時隆の秘書の言葉に、穂波は驚愕した。だが椿が氷宮家の当主なら、時隆と親しそうだったのも納得がいく。

 椿のことを知らなかった他の者たちも、どよりと騒めきだった。しかし、いつもとは違い動揺する空気こそ流れていても、皆が静かに押し黙っているのは……氷宮家の当主がどんな人間か。その噂だけは十分、浸透しているからだった。

「邪魔をして悪いな。報告したいことがあって来たんだ。あんたらの当主決めにも関係している話なんで、せっかくだからこの場で」