澄人は去って行く男の背を見ながら、くそっと、何かに抵抗するかのように呟いた。
『藤堂都姫……っ』
最後に告げた名前は、澄人の口から出るには意外すぎる名前だった。なぜ都姫の名前を? 思念の中の人間にはもちろん話しかけることなんてできないが、穂波は澄人に問いただしたい思いになった。
その名前を聞いたが最後。思念の世界はぷつりと切れた。
意識を取り戻した穂波は、乱れる呼吸と覚束ない意識をなんとか落ち着かせ、椿を見た。
「澄人と、千代を刺した男が話していた光景を視ました。彼らには依頼主が居たんですね」
「ああ。俺が視た思念でも同じだった」
「依頼主は藤堂都姫。私の妹です……あの子が千代を殺すように命じたんですね」
最後に出会った時の都姫は、このまま自分への干渉を続けるなら考えがあると言わんばかりの様子だった。だが穂波の中では、自分と仲睦まじかった頃の幼い都姫が完全に消えてはいなかった。こんな凶行に出るとは思いもしていなかったのだ。
『藤堂都姫……っ』
最後に告げた名前は、澄人の口から出るには意外すぎる名前だった。なぜ都姫の名前を? 思念の中の人間にはもちろん話しかけることなんてできないが、穂波は澄人に問いただしたい思いになった。
その名前を聞いたが最後。思念の世界はぷつりと切れた。
意識を取り戻した穂波は、乱れる呼吸と覚束ない意識をなんとか落ち着かせ、椿を見た。
「澄人と、千代を刺した男が話していた光景を視ました。彼らには依頼主が居たんですね」
「ああ。俺が視た思念でも同じだった」
「依頼主は藤堂都姫。私の妹です……あの子が千代を殺すように命じたんですね」
最後に出会った時の都姫は、このまま自分への干渉を続けるなら考えがあると言わんばかりの様子だった。だが穂波の中では、自分と仲睦まじかった頃の幼い都姫が完全に消えてはいなかった。こんな凶行に出るとは思いもしていなかったのだ。
