序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

『え……』

 千代は自身の脇腹から貫く刀を見て、何が起こったのかわからなかった。床に落ちて割れるガラスのコップのように、ぐしゃりと崩れてしまった。

『ほ、なみ……さま……』

 意識を手放すまで、千代は穂波の身を案じ続けていた。澄人はその様子を、拳を握り締めながらじっと見下ろしている。

 刺したのは澄人ではなく、澄人が同伴してきた男だった。黒い地味な作務衣を着た、白髪混じりの剛毛の小汚い男だ。これが路夜の言っていた盗人かと合点がいった。

『へへ、気前の良い雇い主だよなあ。こんな簡単な仕事であれだけの大金を寄越すなんて。いや、あんたの方が簡単か。嘘の証言をするだけだもんな』
『……』
『おいおい無視かよ。自分は違いますって言わんばかりの、すました顔しやがって』

 あんたも俺も同じだよと盗人は澄人の肩に手を置いて呟くと、後は頼んだとそのまま出て行ってしまった。