「彼女と会わせたかったのもあるが、穂波さんの力で思念を読み取ってほしい」
「! 千代の傷痕から思念を読み取れば……」
「そう。あの日何があったのかわかるだろう」
千代が倒れていた時は必死で、頭が回らなかったことが悔やまれる。あの時念力を使っていれば、もしかしたら連行されずに済んだかもしれない。
「やってみます」
千代の腹部に巻かれた包帯は、茶色く滲んでいる。穂波は包帯に触れると、念力を発動した。
『あれ、澄人さん? おはようございます。今朝の配達は早いんですね』
『あ、ああ。仕事のついでに寄ったんだ。穂波さんが心配でさ。ちょっと覗かせてもらえねえか?』
『ええ、澄人さんなら大歓迎です。ここ三日、酷くうなされており心配です……一刻でも早く良くなるといいのですが』
千代に玄関の戸を開けてもらい、澄人は白洲家の屋敷内に入った。千代は気づいていなかったが、澄人の背後からもう一人の男もついてきていたのだ。
『氷水を作りますので私はこの後席を外しますね。穂波様、起きたら喜ばれるだろうなあ。澄人さんがいらっしゃる間に目覚めてくれれば良いのに』
穂波と澄人の仲を、千代は心より応援していた。自分のことのように浮き足立ちながら千代は廊下を歩いて行く。まさか次の瞬間、自身が刺されるなど一切想像せずに。
