序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「行こう、穂波さん」
「は、はい」

 椿に手を引かれ、穂波はようやく取り調べ室を後にした。残された路夜は、椅子の背にぐでんと頭をかけ廊下に消えていく二人の様子を見ていた。

「あの鬼御曹司……浮いた噂がないとは思ってたが。あんな一途に想ってる女が居たとはなぁ」

 これから面白いことが起こりそうだなぁと、路夜は笑った。

「つ、椿様」
「……」

 警察署から出ようとすると玄関付近に、数日間、穂波の取り調べをしたあの口髭の警官が現れた。青ざめた顔をして、ぶるぶる肩を震わせながら警官は穂波と椿の前に、なんと土下座をし始めた。

「この度の誤認逮捕、大変申し訳ございませんでした! どうか、お許しください!」
「許すか許さないかは俺が決めることではない」

 にこりと椿は微笑むと、警官の胸ぐらを掴み上げた。

「あんたの上の者たちが決めることだ。俺はありのまま起こった事実と感想を話しておいた」
「か、感想ですか?」
「署内の者に聞いた話も含め……あんたがいかに雑な業務をしているのかや、階級や賃金を見直した方が良いという感想を述べておいた」

 楽しみにしておけと、最後に吐き捨てた椿の顔からは笑顔が消え、冷たい鬼のような表情だった。口髭の警官はその形相に、ひいいいと、肩を震わせながら立ち上がれないでいる。