「ぜひ、この時隆様の遺品を視てもらえないでしょうか!」

 銀太が持ってきた品々が、机の上にびっしりと広がっている。時隆と同じ家に住んでいたとあって、思念が残っている心当たりの物が多いようだ。

「わ、わかりました……」

 断りたかったが、人の良さそうな顔して、目を輝かせている銀太は悪い人間ではないのだろう。とても断れなかった。





「穂波様、大丈夫ですか? 顔色が悪いです」

 満足げな銀太を見送った穂波は、ふらふらとした足取りで廊下を歩いていた。

 千代は穂波の横に寄り添うと心配そうにしている。

「念力を使いすぎちゃった。こんなに使うの、初めてだから」
「穂波様の力は、とても素敵な力です。人と、その物に関する思い出を読み取れるなんて。周りの人に穂波様が頼られてるのを見ると嬉しく思います」

 でも、穂波様の健康が一番なので今後はお客様を全て通さないようにします!と、千代は意気込んでみせた。

「いつもありがとうね、千代」
「えへへ、こちらこそ、穂波様のおかげで千代の毎日がありますから」