本家当主・藤堂時隆が亡くなり、椿が訪ねてきたあの日から二週間が経った。変わらず、次期当主選考の話し合いなどで一族の人間たちは持ちきりだった。

「あの……私も、藤堂の家に行きたいです」

 穂波は外出の支度をしている蓮華の前に立ち塞がると、そう志願した。蓮華はぐしゃりと顔を歪めると、穂波の肩を突き飛ばした。

「連れて行くわけないでしょ」

 時隆の手紙にあった謎の序列。今日はあの序列に書かれていた人間たち……『序列候補者』が藤堂本家に集まり、当主決めについて話し合いをすることになっていた。

 序列の意味だけでなく、時隆は肝心のどのように当主を決めるかも遺していなかった。まず時隆の意向から探さなければならない、異例の当主決めが始まろうとしていた。変わり者の時隆の考えそうなことだと、一族の人間たちは皆頭を抱えた。

「百位のあんたなんて恥ずかしくてつれて行けないわ。留守番して、仕事でもしてなさい」