「あんたの念力に思い当たることがあり、付き合わせてしまった。白洲家の人間たちにも強い物言いをしてしまったからな。家に帰ったらまた俺のせいで当たられるかもしれない」

 いえ、と穂波は首を横に振った。椿の言う通り、屋敷に戻ってからどんな態度をとられるかは怖いところだが……それ以上に彼がかけてくれた言葉と過ごした時間は、穂波の心に強く残った。これからの生きる自信に繋がる、大切な宝物のような日になった。

「大丈夫です。私、もう少し頑張ってみます。椿さんと話しててそう思えたから」

 穂波は首を横に振ると、椿に笑顔を見せた。作り笑いじゃなく、心からこんなに笑えた日は久しぶりのことだった。

 白州家の家族と向き合うのはもちろん、妹の都姫とも、正面から話しに行こうと穂波は決意した。

 なぜ自分を恨み、一族内で悪い噂を流しているのか聞きに行く。何か事情があるのかもしれない。

 澄人にも、今までたくさんの言葉をもらってきたけれど一度も正面から返事ができなかった。今度こそ、澄人に自分から伝えて、これからも一緒に居れるように努力する。諦めるのはもうやめにするんだと、穂波は頭の中で繰り返し唱えた。