序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

 一族への嫌悪感や居心地のなさは、時隆自身もずっと感じていた。咲子もその思いは同じだったようだ。

『短い時間でしたが、あの時隆さんとお話できて嬉しかったです』
『あのって……』
『一族内の有名人で、皆の羨望の的ですから』
『嘘だ。憎まれてばかりだ』
『そんなことないですって。私は憧れておりましたよ』

 自分に憧れるなんて、やはり咲子は変わり者だと時隆は思った。

 それから咲子は、そろそろ出発時刻も近づいているのでと、時隆に深く一礼し、幸せになってくださいと微笑んだ。

 止まっていた時間が動き出して、これからまた前に進めるかもしれない。この時の時隆は、そう思っていた。だから知る由もなかった。咲子と別れてから数時間後に訪れる悲劇のことを。

 咲子と別れてから自室に戻り、八潮とどう関われば良いか、時隆は頭を悩ませていた。実に、八潮とは三年間、一言も会話をしていない。

『時隆様、ただいまお時間よろしいでしょうか』

 部屋の外から、自分の名を呼ぶ使用人の声が聞こえてきた。