序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

『それを俺に伝えて、どうしろと』
『もう一度、八潮様と言葉を交わしてほしいと思ったのです』
『……最初からそれができればそうしている。そうしていた……』

 今さらもう、この状況になってしまったのだ。時間を巻き戻すこともできない。数々の念力を複写してきた時隆だが、時間を巻き戻したり、進める念力の使い手には出会ってはいなかった。

『時は巻き戻せませんが、記憶を巻き戻すことはできます』
『それは、どういう意味だ』
『監査役たちから目をつけられてるのですよね。監査役たちの、時隆さんと八潮様に関する記憶を全て私が消してみせます!』

 からっとした態度で、大きなことを平然とる言う。ああ、昔も母は、自分の知っている母のままだったのだと、穂波は呆れとも安堵とも、どちらにもつかぬ溜め息を吐きたくなった。

『馬鹿なことを言うな……歴代の当主たちだぞ? 念力に早々かかってくれるかも定かでない。何よりばれたら君がどうなるか』
『大丈夫ですよ。私、既にいたずらで、一族みんなの記憶をいじったことがあるんです実は』
『…………』

 にっこりと首を傾げながら、咲子は無邪気に笑ってみせた。これにはさすがの時隆も、開いた口が塞がらなかった。

 視ている穂波も頭が痛くなってきた。時隆様ごめんなさいと、十年以上の時を経た今、母の代わりに謝りたいぐらいだった。