照れ臭そうに後ろ髪をかく八潮を見ていると、あたたかい感情が込み上がる。それは他の誰にも抱いたことのない、時隆の初めて知る感情だった。
『俺に関しては、男性や女性に関わらず、誰かを好きになることが初めてです』
『! それって……』
『はい。俺も、あなたをお慕い申し上げております、八潮様』
だが……二人の関係が周囲に認められることは、最後までなかった。
『神託を得る念力と、複写の念力……その二人が結ばれることなど決してあってはならぬ! 恥を知れ!』
屋敷奥の、普段は使われることのない大広間は、特別な会議の時のみしか使われない。監査役たちの会議だ。藤堂家には歴代の当主や、当主との近縁だった者が席を置く、監査会が存在する。
現当主といえど、監査会の意思には逆らうことはできない。時隆と八潮の関係は認められることはなかった。大広間の中央で、時隆と八潮は膝をついて座っていた。二人を取り囲む監査たちの目に、慈悲の色はなかった。
優れた念力を有する者の世継ぎは、また優れた念力を発現すると言い伝えられてきた。真偽も理由も解き明かされてないが、家系と念力の図を見返すと、同じ系列内で同様の念力を発現することが多いのは事実だった。
『二人には、藤堂家の世継ぎを生み出す義務がある。八潮にいたっては現当主のくせに、そんなことすらわからんのか』
『それは……もちろん理解した上で』
『理解した上でこの結論か? 話にならぬ』
『俺に関しては、男性や女性に関わらず、誰かを好きになることが初めてです』
『! それって……』
『はい。俺も、あなたをお慕い申し上げております、八潮様』
だが……二人の関係が周囲に認められることは、最後までなかった。
『神託を得る念力と、複写の念力……その二人が結ばれることなど決してあってはならぬ! 恥を知れ!』
屋敷奥の、普段は使われることのない大広間は、特別な会議の時のみしか使われない。監査役たちの会議だ。藤堂家には歴代の当主や、当主との近縁だった者が席を置く、監査会が存在する。
現当主といえど、監査会の意思には逆らうことはできない。時隆と八潮の関係は認められることはなかった。大広間の中央で、時隆と八潮は膝をついて座っていた。二人を取り囲む監査たちの目に、慈悲の色はなかった。
優れた念力を有する者の世継ぎは、また優れた念力を発現すると言い伝えられてきた。真偽も理由も解き明かされてないが、家系と念力の図を見返すと、同じ系列内で同様の念力を発現することが多いのは事実だった。
『二人には、藤堂家の世継ぎを生み出す義務がある。八潮にいたっては現当主のくせに、そんなことすらわからんのか』
『それは……もちろん理解した上で』
『理解した上でこの結論か? 話にならぬ』
