「何がなんだか知らねえが、敵も念力の使い手か?」
「藤堂天音と都姫が関係している。恐らく、都姫の念力に妨害されている気がするんだ」
「藤堂本家の上位者が、二人も関わってんのかよ」

 想像以上に面倒そうじゃねぇかと、路夜は深くため息をつき、着ていたコートのポケットから煙草を取り出した。

「もみじの家は禁煙ですのー!」
「あ、悪ぃ」

 だがすぐに、ぽかすかともみじに腕を叩かれ、路夜は煙草を持った手を下ろした。

「で、どうやって転移すんだ? さっさと行って解決しようぜ」
「転移は、もみじの手を握ってもらうだけですの」

 授業で挙手をする子供のように、もみじは笑顔で右腕を挙げてみせた。

「本当に簡易だな」

 ほらよと、路夜は差し出されたもみじの手をあっさり握ってみせた。

 そんな様子を見て花森は、事情が読めてないにしても、鷹泉の実力者なだけあり肝が据わっているなと感心した。

「それでは、帝都中央の時計台に飛ばしますの。皆様、健闘を祈りますの」