序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

 氷宮と生きることを決めた今、最後にあの家に返せることはもうこんなことしかない。

「わかった。新しい当主をちゃんと決めよう。俺にとっては、あの手紙を読んで皆がどんな答えを出すかまで見ようかと思っていたんだけど……ずっと決まらないようだし。穂波の言うように、今のまま放っておく方が危ないかもしれない」
「時隆様……! ありがとうございます」

 時隆はそっと穂波を抱き締めていた腕を解くと、またへにゃりと笑みを浮かべてみせた。

「優しすぎだ、穂波は。嫌な目にばかり遭ってきたあの家を、なぜそこまで想いやれるの」
「……それでも、たった一つの血を分けた家族なんです。私の母も父も、妹も居る家はあの一族だけです」
「そうか……俺と同じ答えだね。だからあの家を、憎みきれなかった。俺の大切な人が居た一族だから」

 時隆の大切な人は、同じ藤堂一族の人間だったのだろうか。

 人並外れた才能や品格のある、この男を掻き乱せる人間は、どんな人だったのか。詳しく聞いても良いものかと一拍考えているうちに、時隆が当主の決め方だけど……と話し始めてしまった。

「俺を殺した人間を見つけた者を当主にする。そう決めてたんだけど、穂波が選考方法までは突き止めて、皆に伝えたんだよね?」
「はい。ですが依然と進捗なく。だからこそ新しい選考方法を明示してほしかったのです」
「やっぱり見つけられるわけないよね。犯人が、裏で見つからないように操作してるんだから」