「!! それは……」
誰にも言っていなかった。確信は持てなかったから。どうか見間違いであればと思いたかったのだ。
時隆の万年筆に触れた時。本当は、穂波は妹の姿を見た。あの思念は思い出しただけで身体が凍りつくような冷たい気持ちになる。時隆の光を失くしていく瞳に映る人影は、都姫の姿によく似ていた。
もともと亡くなった時隆を最初に見つけたのは都姫だった。その時から穂波は、靄のかかったような思いを抱いていた。
「都姫が、俺を刺し殺したと唱えてみれば良い。そうすれば血の繋がった姉であっても、穂波が立場を悪くすることはない。それどころか当主にだってなれる」
椿は冷徹だとか鬼よりも怖いだとか言われているが、少しだけ過ごしてみて、心の底は温かい人だと思った。よっぽど時隆の方が怖い。
絵でしか見たことのない花だが、まるで白い薔薇のような人だと昔から思っていた。優しく愛にも溢れているのに、一方で誰も寄せ付けない部分を持っている。
怖くて冷たいのに、優しくてあたたかくて、どうしようも無く人を惹きつける。こんな二面性を併せ持つ人間にはまだ他に会ったことがなかった。
誰にも言っていなかった。確信は持てなかったから。どうか見間違いであればと思いたかったのだ。
時隆の万年筆に触れた時。本当は、穂波は妹の姿を見た。あの思念は思い出しただけで身体が凍りつくような冷たい気持ちになる。時隆の光を失くしていく瞳に映る人影は、都姫の姿によく似ていた。
もともと亡くなった時隆を最初に見つけたのは都姫だった。その時から穂波は、靄のかかったような思いを抱いていた。
「都姫が、俺を刺し殺したと唱えてみれば良い。そうすれば血の繋がった姉であっても、穂波が立場を悪くすることはない。それどころか当主にだってなれる」
椿は冷徹だとか鬼よりも怖いだとか言われているが、少しだけ過ごしてみて、心の底は温かい人だと思った。よっぽど時隆の方が怖い。
絵でしか見たことのない花だが、まるで白い薔薇のような人だと昔から思っていた。優しく愛にも溢れているのに、一方で誰も寄せ付けない部分を持っている。
怖くて冷たいのに、優しくてあたたかくて、どうしようも無く人を惹きつける。こんな二面性を併せ持つ人間にはまだ他に会ったことがなかった。
