序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

(なんで、この景色が)

 忘れるわけがない。これは前に一度視た、時隆が死ぬ瞬間の光景だ。

「……」

 苦痛に顔を歪める時隆の上に、何者かの影が覆いかぶさる。刺された短刀が抜かれ、もう一度振り上げられる。

 それから景色は前と同じように黒く塗り潰され、消える……はずだった。






『怜! あ、あああ……』
『……』

 黒ではない。真っ白な天井と壁に覆われた病室が現れた。

 先程見かけた怜の母親と医者が、ベッドの脇に立っている。母親は手で顔を覆いながら嗚咽していた。

『奇跡だ……目を覚ますなんて……』






 思念が消え、穂波の意識は目の前の怜へと戻る。

「時隆様……?」
「……」

 この思念からわかるのは、目の前の少年が、あの藤堂時隆だという事実だけだった。

 別視点からの思念だったら話が違っていた。この怜という少年から読み取れた思念は……万年筆に残った時隆の思念と、視点も何もかもが同じだった。

 それは、時隆と怜が同じ場所から同じ光景を見ていた、同一人物だということを証明するより他ならない。

「やっぱり最初に俺を見つけるのは君なんだね、穂波」