街中の病院には、花森が案内してくれることになった。依頼人は額に汗を滲ませながらも、椎菜をおぶって歩き続けた。もう少しだからな、大丈夫だと、依頼人は椎菜にずっと声をかけていた。
椎菜が仕事のために、依頼人と結婚しただけだったとしても。二人の姿は、穂波には紛うことのない夫婦の姿に見えた。
「着きました」
三階建ての大きな病院の前に着くと花森は扉を開けて、依頼人に入るよう促した。
「この病院の医者は、相当腕が良いらしいですよ」
「そうなんですか?」
「何年も昏睡状態で、回復が見込めないと言われていた少年が突然快復したそうです。ちょっとした噂になっておりました」
噂を聞いて真っ先に穂波の頭に浮かんだのは千代だった。そんな腕の良い医者が居るなら、まだ意識を取り戻さない千代も、診てもらえば……。
「先生、本当にありがとうございました。なんてお礼を言えば良いか」
「いえ。我々は何も……奇跡としか言いようがなく」
病院に入ってすぐの受付前で、医者と女性が話す声が聞こえた。その話の内容に、咄嗟に穂波の意識が引き戻される。
椎菜が仕事のために、依頼人と結婚しただけだったとしても。二人の姿は、穂波には紛うことのない夫婦の姿に見えた。
「着きました」
三階建ての大きな病院の前に着くと花森は扉を開けて、依頼人に入るよう促した。
「この病院の医者は、相当腕が良いらしいですよ」
「そうなんですか?」
「何年も昏睡状態で、回復が見込めないと言われていた少年が突然快復したそうです。ちょっとした噂になっておりました」
噂を聞いて真っ先に穂波の頭に浮かんだのは千代だった。そんな腕の良い医者が居るなら、まだ意識を取り戻さない千代も、診てもらえば……。
「先生、本当にありがとうございました。なんてお礼を言えば良いか」
「いえ。我々は何も……奇跡としか言いようがなく」
病院に入ってすぐの受付前で、医者と女性が話す声が聞こえた。その話の内容に、咄嗟に穂波の意識が引き戻される。
