序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「と言うことで穂波様。ご心配は無用です。傷一つ簡単につかないんです。すぐに治ってしまいますから」

 花森はナイフを取り出すと、自分の手の甲を切ってみせた。赤い血が滲んだが、次には蒸発し、あっという間に傷が塞がってしまった。

 こんな念力があるなんて……世界はまだまだ穂波の知らないこと、思いのよらぬことばかりだ。

 この念力を花森にかけた女性は、なぜ、どのような想いで彼の不老不死を望んだのか? 一人でずっと変わらない肉体を引きずりながら、それでも花森が氷宮家に仕え続ける理由は?

 椿は、花森のことをどのように思い、なぜ二人は主従関係にあるのか……知りたいことは湯水のように溢れ続ける。だけど、それよりも最初に彼に話したかったのは、その中のどれでもなくて。

「嫌です。心配させてください。治るからって痛みはあるでしょう」
「……!」

 もっと自分を大切にしてほしい。それだけだった。

「ふふふ……」
「わ、私おかしいこと言いました!?」
「いえ。穂波様、椿様と同じことを言うのですね。昔椿様が私にかけてくださった言葉と全く同じです」
「えっ」

 椿と顔を見合わせ、お互い気恥ずかしくなり俯いてしまった。涼葉がやれやれといった調子でため息をついたが、口元は笑っていた。