過去と未来、二つの思念が重なり現在を浮かび上がらせていく。

 花森だけでなく涼葉も、この二人は互いの念力をより一層輝かせる特別な存在同士かもしれないと……悔しくなりながらも、そう思った。

「花森の後、俺が続いて倉庫に入る。椎菜さんは中央奥の柱に縛られているようだが、先に奴らを殲滅してから救出したい。涼葉は念力で扉を開いた後、穂波さんと依頼人を守ってくれ。背後からくるかもしれないもう一人に備えろ」
「了解。あ、扉は壊しちゃって良いってことよね?」
「問題ない。鷹泉の人間を救う為だ、路夜になんとかさせよう」
「あはは……路夜くん、可哀想ー」

 椿にとっての穂波にはなれないが、自分には自分の役目がある。涼葉は薙刀を握る手に一層力を込めた。

 振り上げた薙刀に、重力を操る念力をかける。

「それじゃあ、行くよ」

 倉庫の扉に下ろされた薙刀は、扉を壊すどころか地面までも切り裂いていく。ずどんと胸や腹の底から響いてくるような重たい衝撃音と共に、真っ二つに割れた扉が大きく倒れた。

 倒れた扉の奥に、驚きのあまりに身体を強ばらせた誘拐犯たちが立っていたのだった。