椿は倉庫の扉に触れ、念力を使った。倉庫で起こる未来を視ていく。

「それにしても警備もないとはね。ざるすぎ」
「除籍処分者の派閥も複数ある。視た限り、あいつらは最近排除されたばかりの新しい組織だ、数も少ない」

 淡々と涼葉に答えながら、椿は倉庫の調査を進めて行く。小型の倉庫からは、敵に関する思念を読み取れなかったようで、ついに残すは煉瓦造りの倉庫二棟となった。

「……!」

 倉庫の扉に触れた椿の表情が、驚きの色に変わる。何か読み取れたようだ。

「視えた」
「本当ですか!」

 依頼人が緊迫した様子で、椿に駆け寄る。

「ああ。この中に、奴らと椎菜さんが居る」
「椎菜は生きているんですか!?」
「拘束されているが、まだ息はある」

 それから椿は一呼吸置くと、涼葉と花森に指示を始めた。