「じっとしてて」

 涼葉は穂波の肩に手を置くと、目を瞑った。ぐっと手に力をかけると、手から青白い光が湧き出てくる。次の瞬間、穂波の身体はふわりと宙に浮き始めた。

「!? ど、どうなって」
「私の念力は、触れた物にかかる重力を変えることができるの」

 ぷかぷかと天井の辺りで、穂波の身体は浮いた状態になってしまった。下には戻れず、横移動はできそうだ。

「すごい……」

 空を飛んでみたいなんて、ありきたりな夢を持ったことはあったが本当に叶えられる力があるとは。なんて強力な念力なのだろう。

 きらきらと目を輝かせ自分を見てくる穂波に涼葉はぷいっと顔をそむけると、床を調べ始めた。

(よし、探してみよう)

 横に移動しながら、穂波は隙間なくぺたぺたと天井に触れていった。

「!」

 居間の天井に触れた時、ついに思念が流れ込んできた。