除籍処分者とはいえ、元氷宮家の人間がこの事件に関わっていたら? 責任追求さることは免れないだろう。涼葉が危惧するのは当然だ。

 だからこそ、この家で何が起きて椎菜が行方をくらましたか。穂波は解き明かさねばならない。

「仮に念力が使われたんだとして、どこで使われたのか……探ってみます」

 念力を使う為には、なんらかの条件が必要だ。穂波や椿は物に触れること、都姫は儀式を行うことが力を使う条件となっている。

 あの物音は侵入する為の音でも、わざと立てた音でもなく、念力を使う条件に関係している。

「扉、窓、障子以外からの経路で、念力を使う為にこの家に侵入したと仮定するなら。あとはどちらかしかないんじゃない?」

 涼葉はそう言うと、上を見上げて指差した。

「天井……」
「あとは床。依頼人、この家には天井や床に隠し通路とかあるの?」
「いえ、そんなものはうちには……」

 依頼人は首を横に振った。もしそんな通路を知っていたなら。先に話していたに違いないので、きっと本当なのだろう。

「私が床を探す。その間に天井を探して」
「えっ」

 軽々言うが、どうやって天井に触れればいいのか。依頼人に肩車でもしてもらえというのか?