除籍処分者。藤堂の家にも居た。かく言う穂波にとって全くの他人事ではない話だ。

(お母さんも除籍されている)

 三年前の事件で、都姫に刺された穂波の母は一族内の要監視対象となり……除籍された。

 穂波や都姫の扱いが簡易になるからだ。親権を持つ者を除籍することで、都姫のような強大な念力を持つ娘を、本家は簡単に取り入れることができた。

 なぜ、当の都姫ではなく母がこんな目に遭わなければならないのかと……都姫を恨む気持ちになったこともある。母には都姫がやったことは誰にも言うなと口止めされており、最後の約束を守り続けている。

 だから白洲家から自由になれた今も。藤堂の監視下に置かれた母と会うことはできないのだ。

「念力が使われたと仮定して、痕跡を探して。うちの家の人間だったら大問題よ」