(改めて考えてみると……誘拐犯が玄関扉から堂々と入ってくるだろうか)
馬鹿正直に玄関から入って来たのかと思ってしまってたが。落ち着いて考えれば違うかもしれない。
でも椎菜は大きな物音を聞いている。家に入ってくる時に物音がしたのかもしれない。となると、一般的に考えれば庭から障子や窓などを通して入ってきたことにはなるが……。
穂波は次に、家中の障子や窓に触れてみた。だが犯人に関係する思念は読み取れない。
「あの、家に入ってこれそうな場所って他にどこかありますか?」
「いえ、隠し通路のような物はなく他には考えられないです……」
では、思念がやはり残っていないだけなのだろうか。また一から別の切り口で探すしかないのかと穂波が頭を悩ませ始めていた時だ。
「そもそも、なんで家に入って来た人間に誘拐されたと思ってるの?」
腕を組んで廊下の壁に持たれかかった涼葉が、問いかけてきた。なんだかその立ち姿を見て、椿に似ているなと一瞬穂波は思った。
