そこで椎菜の記憶はぷつりと消えた。このかんざしに纏う思念の旅は、ここで終わりだ。
「はあ、はあ……っ」
「だ、大丈夫ですか!?」
心配そうに穂波の肩を揺さぶる依頼人と、怪訝そうな顔で見下ろしてくる涼葉が視界に入った。
最後に椎菜が誰に、何をされたのかはわからないが、息ができなくなるような。閉塞的な苦しさがあった。
「家に入ってきた何者かに、椎菜さんは誘拐された可能性があります」
あんな上物のかんざしを、どこかにしまうでもつけるでもなく、化粧台の上に放って置いてる時点で、家で何かあったのかもしれないと思っていた。思念が、違和感の裏づけとなった。
「玄関扉……思念が残ってるかもしれない……っ」
穂波は駆け足で玄関扉に向かった。犯人が家に入ってきた場所に痕跡があるはずだ。
「……読み取れない」
しかし玄関扉に触れたものの、流れてくるのはこの家に引っ越してきたばかりの夫婦の記憶だ。犯人に関する思念は残っていない。
思念は強烈な思い出しか、基本的には残らない。些細な記憶まで読み取ることはできないのだ。
読み取れないということは、そもそも犯人にとって誘拐は強い記憶ではなかったか、玄関扉が今回の事件と関係していないかのどちらかだ。
「はあ、はあ……っ」
「だ、大丈夫ですか!?」
心配そうに穂波の肩を揺さぶる依頼人と、怪訝そうな顔で見下ろしてくる涼葉が視界に入った。
最後に椎菜が誰に、何をされたのかはわからないが、息ができなくなるような。閉塞的な苦しさがあった。
「家に入ってきた何者かに、椎菜さんは誘拐された可能性があります」
あんな上物のかんざしを、どこかにしまうでもつけるでもなく、化粧台の上に放って置いてる時点で、家で何かあったのかもしれないと思っていた。思念が、違和感の裏づけとなった。
「玄関扉……思念が残ってるかもしれない……っ」
穂波は駆け足で玄関扉に向かった。犯人が家に入ってきた場所に痕跡があるはずだ。
「……読み取れない」
しかし玄関扉に触れたものの、流れてくるのはこの家に引っ越してきたばかりの夫婦の記憶だ。犯人に関する思念は残っていない。
思念は強烈な思い出しか、基本的には残らない。些細な記憶まで読み取ることはできないのだ。
読み取れないということは、そもそも犯人にとって誘拐は強い記憶ではなかったか、玄関扉が今回の事件と関係していないかのどちらかだ。
