穂波が氷宮家に来てから、早いもので一週間が過ぎようとしている。

 最初こそ穂波を一目見たいと一族の人間たちが集まってきたが、全て椿が鬼の形相で追い払った。月一度、氷宮の人間たちが全員集まる場で紹介すると跳ね除けたのだ。

 椿は申し訳ないと思いながらも、正式な紹介の機会までは、穂波になるべく屋敷に居るよう頼んだ。それは視てしまった未来から、穂波を守るためでもあった。

「椿様、少しよろしいでしょうか」
「入れ」

 部屋に入った花森は、椅子に座りながら振り返った椿の前で一礼した。

「二点お話がありまして、一点目が藤堂都姫や、穂波様の昔の家の件です。調べるよう預かっていた用件をまとめました」
「悪いな。仕事が早くて助かる」

 渡された書類を受け取ると、椿は目を通し始めた。