もしかしたら自分は氷宮一族には相応しくないと、穂波が引いてしまうのではないかと椿は不安だったが。想像に反し、穂波は努力すると言ってきた。
「いやあ、なんだか自分の昔を思い出すなあ。俺も当たられたことがあったっけ」
涼葉と入れ替わりで、誰かの足音がこつこつと部屋に近づいてきた。
黒の山高帽をかぶったスーツ姿の男性が、にこにこと笑いながら立っていた。歳は四、五十代あたりだろうか。背幅が広く、全体的にがっちりと筋肉質だ。肌は健康的に焼けていて、活発そうな印象を一目で与える人だった。
「父上」
「! 椿さんの、お父様」
椿はどちらかというと、線の細く、描き込まれた絵のような美しさがある男だ。祖母とは顔立ちや雰囲気も似ているかと思ったが、力強そうな外見の父とはあまり似ていない。
「はじめまして、穂波さん。六条勇です」
差し出された手を握り返すと、ごつごつとしていて、ところどころ指も切れていた。自身も、白洲家の家事をしていたからわかるが、これは働き者の手だと穂波は思った。
「いやあ、なんだか自分の昔を思い出すなあ。俺も当たられたことがあったっけ」
涼葉と入れ替わりで、誰かの足音がこつこつと部屋に近づいてきた。
黒の山高帽をかぶったスーツ姿の男性が、にこにこと笑いながら立っていた。歳は四、五十代あたりだろうか。背幅が広く、全体的にがっちりと筋肉質だ。肌は健康的に焼けていて、活発そうな印象を一目で与える人だった。
「父上」
「! 椿さんの、お父様」
椿はどちらかというと、線の細く、描き込まれた絵のような美しさがある男だ。祖母とは顔立ちや雰囲気も似ているかと思ったが、力強そうな外見の父とはあまり似ていない。
「はじめまして、穂波さん。六条勇です」
差し出された手を握り返すと、ごつごつとしていて、ところどころ指も切れていた。自身も、白洲家の家事をしていたからわかるが、これは働き者の手だと穂波は思った。
