序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

 案の定、穂波を置いて、白洲の家族たちは藤堂家へと向かったらしい。穂波への言伝は何もない。空気のように扱われることにもとっくに慣れた。

 しかし家族たちが出払ったといえど、とても羽を伸ばせるような心境ではなかった。断ってくる千代を押し切り、仕事の手伝いをした。侍女たちに支給されている物と同じ矢絣と袴を着て、上からエプロンをかける。

「穂波様……皆さん出払ってるので大丈夫ですよ! 私がやるので!」

 白洲家の人間たちは、侍女と同じ仕事を穂波にもやるよう命じていた。理由なんてない。ただの嫌がらせだ。家族の目がない時は千代が代わりにやると言って、穂波に押し付けられた仕事を引き受けようとした。

「大丈夫よ。他の侍女のみんな、今頃、休憩室でお茶でも楽しんでるんでしょ?」

 兄たちの目がないと、千代以外の侍女たちもすぐ仕事をさぼるため、穂波はいつも千代の言葉を押し切って共に働いていた。