冬緒は、穂波がこの家に来てから三年間、両手で数えられるほどしか話したことがない義兄だった。
初めて会った日から自分を拒絶するような態度をとってくる冬緒に臆し、ほとんど彼と言葉を交わすことはなかった。
嫌われるよりも無関心の方が辛いとはよく言うが、穂波にとって彼はそんな存在だった。嫌がらせをしてくる蓮華よりも、自分をないもののように扱ってくる兄の方が怖いと感じることも多かった。
しかし、一度だけ穂波は、冬緒の自分に対する思念を拾ってしまったことがある。
『捨てるのがもったいない髪飾りだ。穂波が使えば、さぞ似合うだろう』
穂波の気に入りの桃色の花の髪飾りには、冬緒が、穂波のことを考え、悩む思念が宿っていた。
何かの機会で手に入れた髪飾りを、穂波にやりたいと考えてくれていたのだ。
だが、どうやってこの髪飾りが自分の手元にやってきたのかは、使っている穂波自身がよく知っている。
『これ。要らなくなったからあんたにやるわ』
『え……この髪飾りは、新品なのでは……』
『うるっさいわね! 要らない物は要らないのよ』
蓮華から渡された物だった。なぜこんな使ってもない綺麗な髪飾りをくれたのか、違和感があったが、本当は冬緒が蓮華に、あの子に渡してやってくれと頼んだ物だったのだ。
初めて会った日から自分を拒絶するような態度をとってくる冬緒に臆し、ほとんど彼と言葉を交わすことはなかった。
嫌われるよりも無関心の方が辛いとはよく言うが、穂波にとって彼はそんな存在だった。嫌がらせをしてくる蓮華よりも、自分をないもののように扱ってくる兄の方が怖いと感じることも多かった。
しかし、一度だけ穂波は、冬緒の自分に対する思念を拾ってしまったことがある。
『捨てるのがもったいない髪飾りだ。穂波が使えば、さぞ似合うだろう』
穂波の気に入りの桃色の花の髪飾りには、冬緒が、穂波のことを考え、悩む思念が宿っていた。
何かの機会で手に入れた髪飾りを、穂波にやりたいと考えてくれていたのだ。
だが、どうやってこの髪飾りが自分の手元にやってきたのかは、使っている穂波自身がよく知っている。
『これ。要らなくなったからあんたにやるわ』
『え……この髪飾りは、新品なのでは……』
『うるっさいわね! 要らない物は要らないのよ』
蓮華から渡された物だった。なぜこんな使ってもない綺麗な髪飾りをくれたのか、違和感があったが、本当は冬緒が蓮華に、あの子に渡してやってくれと頼んだ物だったのだ。
