序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜



「……はい!」

 明日の朝なんて待たずとも、答えは決まっていた。椿と違って未来なんて視えなくてもわかる。目を合わせるだけで、言葉にしなくても擦り寄せあえる想いは、確かな明日への未来を描いていた。





 色々と整理することもあるだろうから、俺は借りてる宿へ帰ると、椿は白洲の屋敷を後にした。

(突然、決まっちゃった)

 自室の荷物を片付けながら、穂波はこれまでの日々を思い返していた。

 三年暮らした白洲家を出て行く日が、こんな形で訪れるとは想像してなかった。細い雨の中に突然落ちてきた、大きな雷みたい。

 ろくに好きな物も買わせてもらえない。前の家で大切にしていた物は、一家が破滅した日になくなってしまったからそもそもない。服も蓮華のおさがりを数点と、侍女たちと同じ物を渡されていただけだ。風呂敷一つで包めてしまう荷物に、自分がこの家に居た痕跡の少なさを感じる。

「あ……お、おかえりなさいませ」
「……」

 すっかり夜になり、庭の灯籠と部屋のランプだけが廊下を照らしている。処分する荷物を部屋の外にまとめていると、家に帰ってきた蓮華が立っていた。