序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜



「わかりました。その子を連れて行ってください」
「君枝お母様……」

 時は移り、白洲家の客室で、椿は白洲君枝と対峙していた。藤堂家を後にしたそのままの足で白洲家に訪れると、椿は君枝に話の席を設けてもらえないか頼んだ。

 穂波さんを氷宮の嫁に迎え入れたいと、椿があまりにも直球で言い放つものだから……君枝のただでさえ崩れてしまいそうな身体は、動揺で激しく軋んだ。

 侍女たちに身体を支えられ、水をちびちびと飲む手は震えていた。

 穂波をどこか良いところに嫁がせる。君枝の穂波の利用価値はその一点に尽きていたが、想像を遥かに超える花婿候補が現れた。

「氷宮家の当主に、うちの家から嫁ぐ者が現れるなんて有り得ないことだ。簡単なことじゃない。でも私はあんたの本当の親じゃないからね。反対はしないよ」

 本当の子供なら止めていたと、君枝は苦しそうな息を、ふうと一つ吐いた。

 穂波は二つ返事で君枝が了承し、しかも荷物をまとめて明日には出て行けと言ってくるそのスピード感に酷く驚いた。一生縛られ続けると思っていたこの家と、ほんの一瞬で別れが決まるなんて。