序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

 実際、椿の言っていたことは『まだ』現実になる前の事実だった。澄人と千代を刺した盗人の男が、都姫の存在を自供すると、椿は未来視で読み取っただけにすぎない。

 だがあの場で都姫を反論させず、黙らせることが椿の狙いだった。事実を認めてるとしか思えない都姫の態度に、彼女に対する一族の人間たちの疑念は一気に膨らんだ。

 今、天音が声をあげてもほっと胸を撫で下ろす人間たちと、未だに都姫を怪訝そうに睨む人間たちは半々だった。

「大丈夫よ、都姫。お姉ちゃんがあなたを守ってあげるわ」
「天音お姉様……」

 都姫にだけ声色も口調も変え、天音は微笑んだ。

 天音は、紫苑の花の色のような柔らかい髪を右肩の上で一つに結んでいる。透明感があってつるりとした、夏の和菓子を彷彿とさせる薄い肌は、見ているだけで甘くもたれた気持ちになる。

 後からできた義理の妹である都姫を、天音は溺愛していた。彼女の類稀なる念力を愛し、叶えたいものはなんでも叶えようとしてきた。

「氷宮椿を潰しちゃいましょう」

 都姫にしか聞こえない声で囁くと、天音の赤いざくろのような瞳がごろりと、悪意の色を帯びた。