「自分の選択に文句を言わせないようにしてる。ただ、一部は除いてだがな」
「い、一部ですか」
椿に文句を言えるなんて、誰なんだろう。椿の両親か? どんな人がこの人の親なんだろう? 怖い気持ちもあるが、むくむくと興味心が穂波の胸に沸いてくる。
「ともかく穂波さんが心配することはないから。家に一度来てほしい」
家……すなわち、あの氷宮家の本家。まさか自分が訪れることになるなんて、考えもしていなかった場所だ。
白洲家のある町から藤堂本家のある隣市を挟んだ場所に位置するのが、この国の帝都にあたる。その帝都の中に対立するように並び立つ、二つの大屋敷。それが氷宮家と鷹泉家だった。中立的な藤堂家と違い、二つの家は屋敷の位置も近く、昔から敵対関係が続いていた。
「あの場では、ああ言うしかあんたを守れないと思ったんだが、突然嫁に来てくれと言われても困ると思う。俺のことや氷宮の家を見て、知ってほしい」
