梅雨空のような気持ちはすぐ晴れそうにはないが、今はただ、前を剥こうと思った。目の前を向かせてくれる椿の存在があったのは、穂波にとって一番の幸福だった。
「私も、正面から椿さんに受けて立ちます。椿さんのことをもっと知って、好きになりたいです」
「っはは、受けて立つとは……穂波さんらしい。力強い物言いだな」
「う……」
確かに変だったかもしれないと、椿に笑われた穂波はぐぐぐと、渋そうな顔をしてみせた。
(でもよくよく考えれば、声を出して笑う椿さん初めてかも)
また新しい表情を見れた。
「ひ、氷宮家の当主だったことは! なんで隠していたのですか?」
穂波は椿も困らせてやろうと、答えづらいかもしれない質問を出してみた。実際ひっかかっていた点だ。藤堂の家系を回るなら、氷宮家の当主だと名乗った方がスムーズに回れたはずだからだ。
知名度の低い六条の分家の人間だと名乗るのと、対応が変わってくる。
「あんたには忘れられてしまったみたいだが……昔初めて会った時、俺は六条椿だったんだ」
「えっ……」
「二年前から俺は氷宮椿になった。氷宮一族の当主決めで、当主の座を勝ち取った」
「私も、正面から椿さんに受けて立ちます。椿さんのことをもっと知って、好きになりたいです」
「っはは、受けて立つとは……穂波さんらしい。力強い物言いだな」
「う……」
確かに変だったかもしれないと、椿に笑われた穂波はぐぐぐと、渋そうな顔をしてみせた。
(でもよくよく考えれば、声を出して笑う椿さん初めてかも)
また新しい表情を見れた。
「ひ、氷宮家の当主だったことは! なんで隠していたのですか?」
穂波は椿も困らせてやろうと、答えづらいかもしれない質問を出してみた。実際ひっかかっていた点だ。藤堂の家系を回るなら、氷宮家の当主だと名乗った方がスムーズに回れたはずだからだ。
知名度の低い六条の分家の人間だと名乗るのと、対応が変わってくる。
「あんたには忘れられてしまったみたいだが……昔初めて会った時、俺は六条椿だったんだ」
「えっ……」
「二年前から俺は氷宮椿になった。氷宮一族の当主決めで、当主の座を勝ち取った」
