「あの…本当すみません…」
あたしも俯いて言う。
「あははっ、舞香ちゃん本当おもしろいねっ!」
顔をあげると、そこには笑顔の陸人さんがいた。
あれ、笑ってる…?
「舞香ちゃん、さっきからボーッとして「はい!」しか言わないんだもん! なんか、見てておもしろかったんだよ」
陸人さんが笑いながら言う。
フッと目が細くなって、いつもにまして優しい顔つきになった。
ドキッ
「…そ、おもしろいなんてっ」
「ごめんごめん! ほら、髪の毛に砂ついてんじゃん」
「へっ?」
陸人さんが、あたしの頭をパッパッとはらう。
やばい…心臓がやばい!!
どうしちゃったのあたし!?
「あはは、なんか、舞香ちゃんみたいな妹いたらいいのにな…まぁ、家一緒だし妹みたいなもんだけどさ」
「…妹、ですか?」
「うん、だって可愛いしさ!」
陸人さんが王子スマイルで言う。
かっこいい…!!
でも、“妹”って言われて、嬉しいような…悲しいような…。
「じゃ、もっかい行ってみよっか」
「は、はいっ」
「また転んじゃ駄目だよ?」
「大丈夫ですっ!」
あたしは、気がつかなかった。
この時、あたしと陸人さんを見ている目にも…。
自分の気持ちにも…。

