「えっと…陸人さんと一緒のクラスだって言ってたから…3のBだよね?」
あたしは隣の校舎のその教室の前で立ち止まった。
手にはピンクの紙袋に入れたハンカチを持って、ドアを開ける。
「あの~…詩織さん居ますか~?」
あたしの言葉に気づいて、こちらに向って来る人が居た。
陸人さんだ。
「お、舞香ちゃんじゃん。どうしたの? 用事?」
「あ、陸人さん、あの…詩織さん居ますか?」
あたしがそう言うと、陸人さんは一瞬固まったように見えた。
「え? あぁ…柊ね。呼んでくるからちょっと待ってて?」
そう言って陸人さんは教室の中に戻って行く。

何だろ、さっきの微妙な空気…。
気のせい、かな…。