「お前ハンカチとか使う…わけねーよな。ましてやそんな可愛らしい色のハンカチなんかもっての他だよな」
隼人は意地悪く少し笑って言った。

なんかいつもの隼人と違う…ような気がした。
「黙ってよ! あたしのじゃないもんどうせ!」
あたし、またムキになってる。
ムカつくからしょうがない、か…。

「じゃ、誰のだよ」
「誰でもいーじゃん」
あたしはムスッと返す。
「ま、お前の事情なんて知りたかねーや」
隼人もツンとそっぽを向く。
やっぱムカつく…。
「こっちこそ知られたくないもんっ」
ふいに、小声が、普通の声に戻る。
「おい、広瀬、高峰。静かにしろ」
黒板に文字を書いていた先生が、振り向いて言う。

「すいませ~ん」
あたしはダルそうに返事した。
隼人はため息をつき、机にひじをついた。