「えっいいですそんな!」 「いいのよ、また返してくれればいいから」 詩織さんは優しく笑う。 「え…でも…」 こんな綺麗なハンカチ使えないよーっ! 「それより舞香ちゃん」 詩織さんが気が付いたように言う。 「はいっ!?」 「授業、行かなくて大丈夫なの?」 …!!! そうだった!! すっかり忘れてたっ! 「すいませんっ! 言ってくれてありがとうございますっ!」 「いえいえ…行ってらっしゃい」 あたしは詩織さんに見送られながら、また走り出した。