「やばッ…次の授業始まっちゃうよっ!」
廊下を三人、バタバタと走るあたしとアイコ、レミ。
アイコとレミと話し込んでしまって、移動教室が間に合わなかった。
「もうレミー! レミはしっかりしてんだから時間言ってよぉ~」
アイコが半泣きでレミに言う。
「私も分からなかったのよ…ごめん、帰り何かおごるから許して」
「やたっ! アイスっ!」
アイコは一瞬にして機嫌を直した。

「…あっ!!!」
その時、あたしはある事に気づいた。
「どうしたの? 舞香」
レミが不思議そうに尋ねてきた。
「あたし…教科書忘れちゃった…!!」
どうしよ!!
もうすぐだったのに!!
「えーっ何やってんの舞香ぁ~」
「ごめんっ、先行ってて! 取ってくる!」
あたしは走って来た道を逆走した。