確かに、俺は舞香が危ないの見てて、助けなかった。

すぐ兄貴に連絡した。

もちろん兄貴が近くに居るの分かってたし、もし助けに来るのが遅かったら、死んでも俺が助けるつもりだった。



「気付いてたのに、なんで自分が行かなかったの?」

「別に、深い理由なんかない」

「深い理由がないんならすぐ助けなよ。舞香ちゃんが危ないことぐらい分かってただろ」



胸ぐらを兄貴に掴まれた。

声を荒げてないし、睨みもきいてないのに、なぜか兄貴が怖いと思った。

淡々とした口調の中に、激しい怒りが隠れている。



「……っ!」

「いい加減にしなよ。ちゃんと理由説明しな」

「……んなの、ただ…」