「…えと、祇園精舎の鐘の声ー、諸行…む、無常の響きありぃ!」
あたしは難しい漢字が並んだ古文をつまりながら自信満々で読む。
「…座ってよし…」
担任は悔しそうに言う。
きっとあたしが話を聞いてないから読めないと思ったんだろう。残念でした。(笑)
そう思いながら、あたしはイスに座る。
そして隼人から投げられた紙きれにもう一度目をやる。
(結構いい奴じゃないか…)
その時、
「ん??」
さっきの文字の下に、小さい字でまだ何か書いてあることに気が付いた。
あたしは紙を広げ、その字を目をこらして読む。

【ボーっとしてんじゃねぇよ、変態女。】

ビリビリッ
あたしは紙切れを反射的に破った。
あいつぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
何よ! 変態女ってェ!

ガッ
あたしは隣の隼人のイスを足で蹴飛ばす。
「おわっ」
ふんぞりかえって座っていた隼人は、バランスを崩してイスからすべり落ちる。