「九条せんせぇーい」
「これ、受け取ってくださぁーいっ」

甲高い女子の声。
まるで、芸能人にでも出くわしたようなテンション。
辺りにハートが飛び散って見える。

もしかして、九条先生って・・・。

「あ、おはようございます、高峰さん」

ギクッ
そーっと気づかれないようにその集団を通り過ぎようとしたとき、ある男に声を掛けられる。
あたしは聞こえないフリをして、涼しい顔で通り過ぎようとする。

「あー高峰さん! 待って下さいよ」

その男・・・九条恭介は、困ったような顔をして、集団を掻き分けてあたしを追いかけてくる。

な、何でこっち来るのよ・・・!?
あたしに何か用!?